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「経済は悪い気がする」でも株は絶好調?2026年の米景気シナリオ
最近のアメリカ経済ニュースを読むと「雇用が不安定」「物価がまだ高い」といった不安要素が目立ちます。
一方でウォール街は「2026年は再加速する」と強気。つまり、国民の肌感覚と金融市場の見方にギャップがあるのです。
なぜ強気なのか?
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政策リスクが和らぐ兆し
税制や関税、移民政策の不透明さが改善する見込み。これが企業の投資や雇用を後押しする可能性があります。 -
大型景気刺激策(One Big, Beautiful Bill Act)の成立
企業活動を後押しする財政支出が見込まれる。 -
雇用回復シナリオ
「2025年は様子見で採用を控えていた企業が、2026年に一斉に採用を再開するのでは」との見方(シティ証券のカイザー氏)。
ただし懸念も多い
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インフレ率がなかなか下がらない
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雇用統計には弱さが見える
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FRB(米連邦準備制度)の独立性に政治が介入しているとの懸念
投資家は「明るい側」だけを見がちですが、実体経済は二極化しています。
K字型回復の現実
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高所得層:株高や資産効果で消費を継続
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低所得層:賃金停滞・物価高で消費が伸び悩み
つまり「景気がいい」と感じる人と「苦しい」と感じる人がハッキリ分かれる状況です。
株式市場で起きていること
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金利に敏感なセクターが好調
→ 中小型株や住宅建設株が最高値更新 -
消費関連株も上昇
→ 小売業や娯楽関連など「景気敏感株」が買われている
まとめ
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景気は「悪く見えるが、実は再加速の芽が出ている」
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ただし格差拡大やインフレのリスクは続く
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投資家にとっては「楽観すぎ注意」、生活者にとっては「格差の痛みをどうしのぐか」がテーマ
「株高=景気が良い」とは限らない──。このギャップをどう理解するかが、2026年経済のカギになりそうです。
気になった記事
株式市場は“消化モード”へ?決算シーズン後のリスクを探る
夏の株高と好決算で盛り上がったウォール街も、いまは一息ついて「消化モード」に入りました。
どんなリスクが残っている?
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雇用市場の弱さ
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FRB独立性への政治介入
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インフレが目標を上回る水準で粘着
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関税が消費者価格にどう影響するか不透明
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米国債利回りの上昇が株の重しに
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株価バリュエーションの割高感
それでも強気の声も
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直近の企業決算は前年比+12%の利益成長
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「5%程度の調整はむしろ健全」との見方も
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テック株は調整局面でも、REIT(不動産投資信託)や公益株に資金がシフト
つまり、投資家は「リスクを完全無視」ではなく、**セクターローテーション(資金の移動)**で対応している状況です。
まとめ
株価は割高でも、利益が伴っている以上はすぐに暴落とは言い切れません。
「上がりすぎた分を消化しながら次の材料を探す」──そんな市場ムードが続きそうです。
小ネタ1
関税で家計に最大23万円負担増?
イェール大学の試算によると、トランプ前政権が導入した関税が維持されると、アメリカの家計は年間2,300ドル(約34万円)の追加負担になる可能性があるとのこと。
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現行のグローバル関税 → 実効税率は17%超(1930年代以来の高水準)
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裁判で違法と認定されれば → 年間700ドル(約10万円)程度の負担に軽減
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条件次第では → 年間1,600ドル(約23万円)の節約効果も
ただし、仮に大幅減税になっても、政権側は医薬品や木材など個別品目に新たな関税をかけ直す可能性もあるとのことです。
日本でも原材料やエネルギー価格に直結するテーマ。**「関税=家計に響く税金」**という視点は要チェックです。
小ネタ2
マグロウヒル、上場後の初決算は好調スタート
教科書や学習参考書で知られる米マグロウヒル社が上場後初の決算を発表。
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デジタル収益は前年比7.2%増
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CEOは「教育は社会に不可欠なミッション」と強調
出版不況が続く中でも、デジタル教育需要の追い風で堅調な成長を見せています。
日本で言えば「ベネッセ」や「Z会」がDXで収益を伸ばしているようなイメージですね。
編集後記
今回のメインは「実は悪くないアメリカ経済」。数字を見れば堅調ですが、庶民感覚では「物価が高い、仕事が不安定」という不満が強い。つまり**“景気は人によって違う顔を見せる”**のが現実なんですよね。
サブ記事では決算シーズン後の株式市場のムードを紹介しました。日本の投資家にとっても米国株は無視できない存在。リスクを抱えながらも「調整しながら上昇」が続く可能性は注目ポイントです。
小ネタの関税と教育は、生活にも直結するテーマ。政治と経済の動きがいかに私たちの日常に影響してくるかを実感します。
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