「Nvidia無双と“フルインベストの弱気派”——AI相場はどこまで走れるのか」

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深掘り記事|Nvidia決算が照らす「AI相場」と「フルインベスト弱気派」の正体

■ 史上最大企業Nvidia、熊(ベア)すらうならせる決算

今回のメインテーマは、世界で最も時価総額の大きい企業となったNvidiaの決算です。

記事によると、Nvidiaの第3四半期決算はまさに“モンスター級”。

  • 売上高:前年比+62%

  • 史上最高の売上・利益を更新

  • 決算発表を受け、時間外で株価+7%前後(プレマーケットを含む動きとして紹介)

しかも面白いのは、ウォール街で唯一「売り(Sell)」評価をつけているアナリストまでもが「良い決算だった」と認めている点です。

その“孤高のベア”が、
Seaport Research Partners のシニアアナリスト Jay Goldberg

  • 「いい決算だった。そこは素直に評価する(full credit)」

  • ただし、「正直、もっと強いガイダンスを出してくるかと思っていた」

  • ガイダンスは予想を上回ったものの、
    → ここ最近のテック株逆風を“完全に忘れさせる”ほどではない、という冷静なコメント

決算そのものは圧勝。しかし、それでもなお売り推奨は変えない。
この距離感に、いまのAI相場の難しさが凝縮されています。

さらにCFOのColette Kressは、

  • BlackwellとRubinという次世代チップだけで、2026年までに“5,000億ドルの売上”を見込む

とかなり踏み込んだコメントを出しています。

ジェンセン・フアンCEOは、いつものテンションでこう言い切ります。

  • 「Blackwellの売上は off the charts(グラフからはみ出るレベル)」

  • 「クラウド向けGPUは sold out(売り切れ)」

ここだけ読むと、

「あれ、AIバブル懸念ってなんでしたっけ?」

という気分になってきます。


■ それでも「ベア」は売りを変えない理由

では、なぜ唯一の“売り”アナリストは評価を変えないのか。

Goldbergが気にしているのは、顧客側の体力です。

  • Nvidiaの顧客は、Meta、OpenAI、テスラ、Oracleなど、巨大テック&ネオクラウド勢

  • 彼らは今、何十億ドル単位でGPUに投資している

  • だが、「いつまでこのペースで投資を続けられるのか?」という疑問が消えない

特に気にしているのが、記事にもある

「neocloud(ネオクラウド)プレイヤー」

と呼ばれる比較的新興のクラウド勢です。

  • 既存のメガテック(Amazon、Microsoft、Google)以外にも、

  • 新たなクラウド基盤・GPUリセールを担う企業が増えている

  • その一部は、キャッシュフローやレバレッジ(借金)リスクを抱えながら、AIインフラ投資を拡大している

Goldbergの懸念はシンプルです。

「このレベルの投資が“常態化”するとは思えない。
どこかで、誰かが『一旦ストップ』を押すのではないか?」

決算数字だけ見ると「超優良」。
ただし、それを支える顧客企業の投資サイクルがいつまで続くかは別問題というわけです。


■ 「AIバブルかどうか」は、もはやNvidia一社の問題ではない

記事の視点が鋭いのは、Nvidiaを**指数レベルの“システムリスク”**として扱っている点です。

  • Nvidiaは**S&P500の約8%**を占める

  • 世界全体の株式市場の中でも**約1%**をこの一社が占める

  • 年初からの市場全体の上昇分のうち、約5分の1はNvidia一社の寄与

つまり、

「Nvidia一社の決算が、
そのままグローバル株式の体温計になっている」

と言っても大げさではありません。

今回の決算をめぐる本当の問いは、

  • 「Nvidiaが好決算を出せるか」ではなく、

  • この決算を“AI相場全体の安心材料”と見て良いのか

に移っています。

記事の論調は、

  • 「決算は素晴らしい」

  • しかし「AIバブル懸念やテック全体の逆風が“完全に払拭された”とは言いがたい」

という、かなり冷静なトーンです。


■ マーケットの本音:「フルインベストの弱気派」という矛盾した生き物

記事で一番おもしろいフレーズはここです。

「クライアントと話していると、センチメントは依然としてベア(弱気)だ。
しかしFOMO(取り残され恐怖)のせいで、
ヘッジ(下落への備え)を入れられずにいる。
あるクライアントはこう言った。
『そう、我々は“フルインベストの弱気派”だ』」

Amy Wu Silverman(RBCのデリバティブ戦略責任者)のコメントです。

  • 市場全体の空気は「弱気」

  • でも、ポジションはパンパン(フルインベスト)

  • 売りヘッジもろくに入っていない

頭では「危ない」と思いながらも、
指は**「押し目買い」ボタンをクリックし続けている投資家たち**。

  • Nvidiaの一社で年初来リターンの約2割を稼いでいる

  • そんな株を「怖いから」と言って素直に売ると、
    → 相対成績は一気に置いていかれる

結果として、

「怖いから売りたい」 vs 「でも売ると成績が死ぬ」

この永遠の葛藤のなかで、

「フルインベストのまま、弱気で震えている」

という、なんとも人間らしいマーケット心理が出来上がっています。


■ バブル論争の論点整理:問題は「崩壊の有無」ではなく「巻き込まれ方」

記事は、AI相場を取り巻く「4つの不安要因」を簡潔に並べています。

  1. Fed(FRB)

    • 直近の議事要旨からは、
      → 12月の利下げを見送る可能性もにじむ

    • 金利引き下げが一旦止まるなら、
      → 高バリュエーション株には当然向かい風

  2. レバレッジ(負債)

    • 大手テック企業が、
      → 自社のキャッシュフローだけでなく借入も使ってAI投資を増やしている

    • レバレッジを効かせた投資は、
      → 増えている間は最高だが、止まった瞬間に一気に逆回転するリスク

  3. バリュエーション(株価水準)

    • S&P500全体のPERは30倍前後

    • 歴史的平均の18倍と比べると、
      → 「バブルに近づきつつある」と指摘

  4. 不確実性(マクロ&関税)

    • 景気の実態、インフレ、雇用の強さ

    • さらに今後の関税政策など、
      → 先行きが読みにくい要因が山積み

ポイントは、

「バブルかどうか」は事後的にしか確定しない

という現実です。

  • いまの相場は、
    → 明らかに高い
    → しかし、まだ数字が伸びている

  • だから、「明日崩壊する」とも言えないし、
    → 「ここからさらに2年は持つ」とも言えない

重要なのは、

  • どの程度AI関連資産に依存しているのか

  • 自分や自社が「フルインベストの弱気派」になっていないか

  • 相場が逆回転した時に、“ビジネスそのもの”はちゃんと立っていられるのか

このあたりを、冷静に点検することだと思います。


まとめ|「Nvidia一社に頼りすぎた世界」のリスクをどう見るか

今回の記事から読み取れるメッセージを、日本のビジネスパーソン向けに整理すると、こうなります。

1つ目は、**「AI相場はまだ終わっていない」**という事実です。
Nvidiaは第3四半期だけで前年比+62%の売上成長をたたき出し、
次世代チップBlackwell & Rubinだけで2026年までに5,000億ドル売る計画を示しました。
AI向けGPUは「売り切れ」、大手クラウドやAI企業の需要は依然として強い。
少なくとも足元のファンダメンタルズだけを見れば、
「AIバブル崩壊はまだ早い」というのが、今回の決算の答えです。

2つ目は、「だからこそ、集中リスクが怖くなっている」という点です。
Nvidia一社でS&P500の約8%、世界の株式市場の約1%を占め、
年初来の株価上昇分の約2割を一社で稼いでいる。
その売上の大半は、AIインフラ投資を続けるBig Techとネオクラウド勢に依存しています。
もし彼らが投資ペースを落とせば、Nvidiaの成長も減速し、
インデックス投資家も含めて世界中のポートフォリオが影響を受ける構造
になっている。
これは「一社がコケたら終わる」という極端な話ではないにせよ、
“AI相場全体を背負った存在”としてのシステムリスクがじわじわ高まっていると言えます。

3つ目は、「マーケットの心理がねじれている」という指摘です。
RBCのアナリストが紹介していたように、
多くの投資家が口では「弱気(ベア)」と言いながら、
実際にはフルインベストのままヘッジも入れていない

これは、人間としては非常に自然な行動です。
AIやNvidiaを外すと相対成績が一気に悪化するため、
「危ないと思いつつ、降りられない電車」に乗り続けている状態です。
この“フルインベスト弱気派”が増えれば増えるほど、
相場が反転したときのボラティリティ(値動きの激しさ)は大きくなりやすい、という側面があります。

4つ目は、**「マクロの不安要因はむしろ積み上がっている」**という現実です。
FRBは12月の利下げ停止を検討している可能性があり、
大型テック企業はキャッシュだけでなく借入も使ってAI投資を増やしています。
市場全体のPERは30倍前後と、歴史的平均の18倍を大きく上回る水準。
加えて、景気や関税政策、雇用統計の不確実性など、
“見えないもの”が増えるほど、投資家のストレスは高まっていきます。

では、どう向き合うべきか。
個人としても企業としても、
「AIに乗るか・乗らないか」という二択ではなく、
**「どの程度までAI・Nvidia依存を許容するか」**という“量のコントロール”が重要になってきます。
ポートフォリオであれば、AI関連の比率とその他の資産のバランス。
事業であれば、AIインフラ投資が実際の売上・利益成長にどう結びつくのかという検証。
**「伸びているから、もっと賭ける」だけではなく、
「もし伸び方が鈍ったときに、致命傷にならないか」**という視点が欠かせません。

AI相場は、まだ走っています。
しかしそれは、永遠に続くマラソンではなく、
どこかで必ずペース配分の見直しを迫られるレースです。
そのとき、自分のポジションとビジネスはどうなっているのか——
その“未来の決算説明会”を頭の中でシミュレーションしておくことが、
いま一番現実的なリスク管理だと思います。


気になった記事|「安いターキー」に隠れたインフレの現実

サブ記事は、感謝祭ディナーの値段とスーパーの戦略です。
一見ほのぼのニュースですが、インフレと消費者心理の“今”がよく見えます。

記事によると、アメリカのスーパー各社は、

  • ターキー(七面鳥)の価格を大幅ディスカウント

  • Thanksgiving(感謝祭)の「ディナーバンドル」で客を呼び込む作戦に出ています。

具体的には:

  • 冷凍ターキーの卸売価格は、1ポンドあたり 1.73ドル

  • しかし、小売では
    → Walmartが0.97ドル/ポンドで販売

  • Aldiは、
    → 14ポンドのターキー+定番のおかず一式で40ドルのセット
    → 昨年より7ドル安い

  • Walmartは4年前から「ホリデーディナーセット」を売っており、
    → 今年も10人で約4ドル/人という価格を維持
    → ただし、昨年までのセットから一部商品を削っている

ここで重要なのは、

「ターキーが安くなった=全体的に物価が落ち着いた」

では、決してないという点です。

アメリカ農業団体・American Farm Bureau Federationの試算によると、

  • 「10人分のクラシックな感謝祭ディナー」の平均コストは55.18ドル

  • 1人あたり約5.52ドル

  • これは去年より5%安いものの、
    → 2019年(コロナ前)より約13%高い

つまり、スーパーは

  • ターキーなど目玉商品は赤字覚悟で安売りし、

  • 全体としてはまだインフレ前より確実に高い

という、かなり巧妙な価格戦略を取っているわけです。

日本でも、

  • 「卵が安くなりました!」

  • と言いつつ、

  • 調味料・冷凍食品・外食はじわじわ値上がり続ける

といった状況がありますが、それと非常によく似ています。

「目玉商品だけインフレ前に近づけて、
買い物全体ではしっかり利益を取る」

これが、いまの小売業の現実的なサバイバル戦略なのだと思います。


小ネタ①|ターキーは安い、でも“生活の体感インフレ”は安くならない

上の感謝祭ネタを、もう少し“生活感”の方向から。

  • 卸値:1.73ドル/ポンド

  • 小売:0.97ドル/ポンド

このギャップは、スーパーが利益を削ってでも“安さイメージ”を死守したい領域だということです。

Aldiの40ドルバンドルも、Walmartの1人4ドルディナーも、
「うちで買えばホリデーは安く済むよ」という心理的な安心感を売っているわけですね。

ただ一方で、

  • 全体としては2019年比でまだ+13%高い

  • しかもこれはあくまで「モデルケースのディナー」

という事実は重いです。

日本の感覚に置き換えると、

「正月用の寿司桶とオードブルだけは頑張って安く見せるけど、
年間の食費はじわじわ増えている」

という状態に近いでしょう。

見出しだけ読むと「物価落ち着いてきたのかな」と思いがちですが、
中身をよく読むと、

値下がりしているのは“演出としての安さ”であり、
生活全体の負担はそう簡単には戻らない

という、なかなか渋い現実が見えてきます。


小ネタ②|キュラソーW杯出場:人口15万6,000人の“最小国家”の戦い方

STATコーナーでは、サッカーW杯の小国の快挙が紹介されています。

  • カリブ海の島国キュラソーが、ジャマイカと0–0で引き分けてW杯本戦出場を決めた

  • 人口約15万6,000人

  • これまで最小だったアイスランド(人口約35万人、2018年出場)を抜き、
    → 史上最小人口のW杯出場国となった

キュラソーは2010年にオランダ王国の構成国として自治権を得ており、
代表チームはオランダ系ディアスポラ(移民・2世3世など)からも選手を招集しています。

また今回は、

  • カーボベルデ、ウズベキスタン、ヨルダンも初出場

  • ハイチは1974年以来となる2回目の出場

  • 一方で、世界人口上位10カ国のうち8カ国は予選敗退

という、なかなかドラマティックなラインナップです。

背景には、

  • 2026年大会から出場国枠が32→48チームへ拡大したこと

  • 小国でも、育成とスカウティング、 diaspora の活用などで戦い方を工夫すれば、
    → 世界の大舞台に立てる、という時代の変化

があります。

ビジネスに引き寄せるなら、

「資本力も人口も桁違いの“メガ企業”だらけの市場でも、
戦略とネットワーク次第では、小さなプレイヤーにもチャンスがある」

という、ちょっと希望の持てるニュースです。


編集後記|「フルインベストの弱気派」になっていないか、たまに点検したい話

今回いちばん刺さったフレーズは、
やはり「フルインベストの弱気派(fully invested bears)」でした。

  • 未来は不安

  • バリュエーションは高い

  • FRBも方向感がはっきりしない

  • 関税もAIバブルも、どこで何が起きるか読めない

……と、頭の中は不安でいっぱいなのに、
実際のポジションは株もAIもがっつり買いっぱなし
ヘッジもほとんど入っていない。

理由はシンプルで、

「怖いからといって降りると、成績が一気に置いていかれるから」

です。

これ、投資の世界に限らず、
仕事やキャリアにもかなり似た構図があるなと思います。

  • 「この働き方は長期的にはきつい」と分かっている

  • 「この事業はどこかで見直さないと危ない」とも感じている

  • それでも、目の前の数字や評価のために、
    → アクセルを踏み続けてしまう

結果として、

「不安は強まるのに、
行動はますます引き返しづらくなる」

という、地味にしんどいループにハマる——
どこか心当たりはないでしょうか。

AI投資も同じで、

  • 「乗り遅れたくない」

  • 「競合も入れているから、うちも入れないと」

  • 「今期のストーリーとしてAIを語れないと、株主説明が難しい」

という理由だけでアクセルを踏むと、
気づけば自社も**“AIフルインベストの弱気派”**になっているかもしれません。

本当に怖いのは、

  • バブルがあるか、ないか ではなく、

  • 自分がそのバブルにどれだけ巻き込まれているのか自覚していない状態だと思います。

だからといって、「AIだから全部やめよう」と言ってしまうのも極端です。
Nvidiaの決算が示すように、
現時点では“ちゃんと売上と利益が出ている領域”でもあるわけで、
そこから完全に目をそらすのもまた、リスクです。

結局のところ、

  • 「AIで何をしたいのか」

  • 「いくらまでなら賭けられるのか」

  • 「もし目論見が外れたとき、どこまで耐えられるのか」

この3つを、自分の言葉で説明できるかどうかが、
フルインベスト弱気派と、
**「ちゃんと怖がれる現実主義者」**の分かれ目なのかな、と思います。

相場のニュースを追っていると、
どうしてもNvidiaだ、FRBだ、トランプだと、
“自分にはコントロールできないもの”ばかりが目につきます。

でも、

  • どこに投資して、どこには投資しないのか

  • どこで働いて、どんなスキルを磨くのか

  • どこまでリスクを取って、どこからは守りに入るのか

このあたりは、案外まだ自分で決められる領域が残っています。

マーケットがどうであれ、
せめて自分だけは**「フルインベストで震えているだけの弱気派」**にならないように、
ときどきポジション表とスケジュール帳を並べて、
静かに棚卸しする時間を取りたいものです。

今日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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