深掘り記事
◆ Eventbriteはどこへ行くのか?買い手は“謎のイタリア企業”
まずはTECHパートから。
オンラインイベント・チケット販売サイトのEventbriteが、イタリアの「Bending Spoons」という企業に5億ドルで買収されることになりました。
記事によると:
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Eventbriteは2018年のIPO時に17.6億ドルの評価だったのが、
→ 今回はその3分の1以下の価格での売却。 -
買い手のBending Spoonsは、ミラノ拠点のソフトウェア企業で、
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Evernote
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WeTransfer
など、かつて名を馳せた“古参インターネット銘柄”を次々と買収しているとのこと。
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さらに、VimeoとAOLの買収も近日中にクローズ予定だと記事は伝えています。
「え、全部知ってるサービスなんだけど?」と思いつつ、
気づけばどれも“昔ほど話題に上らなくなった”顔ぶれです。
そして、「Bending Spoonsって何者?」という疑問に対して、記事はこう説明しています。
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12年前、スクラップブック系アプリのスタートアップとして生まれたが、その事業は失敗。
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その後、**「サブスク型のデジタルビジネスを安く買って再生する」**という現在のモデルにピボット。
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コードから料金体系まで、**全てを作り直すレベルの“総リビルド”**を行うのが特徴。
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買ってすぐ売るのではなく、「永遠に保有するつもり(to hold forever)」という長期志向を掲げており、
これまで一度も売却した案件はないとのこと。 -
その結果、2025年10月の7.1億ドルの資金調達ラウンドで、企業評価は110億ドルに到達したと書かれています。
ここまでが事実の要約です。
◆ 「古いプラットフォームの墓場」なのか、「再生工場」なのか
ここからは私の見方ですが、Bending Spoonsのモデルは、
ある意味で**“老朽化したSaaS・プラットフォームの再生工場”**のように見えます。
記事が描くプレイブックを整理すると、
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かつては人気だったが、今は成長が止まったサブスク系サービスを安く買う
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例:Eventbrite(17.6億ドル → 5億ドル)
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人員を大幅に削減し、プロダクトの中身を総リビルドする
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コード、料金体系、UXなど“全部見直し”。
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長期保有を前提に、キャッシュフローと価値を積み増していく
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転売ではなく、自社の企業価値を高める方向へ。
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要は、
「伸びなくなったけど、ブランドとユーザーベースはまだ生きているサービス」を
低価格で仕入れて、時間をかけて磨き直すビジネス
です。
これは、
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小売でいう「在庫処分品の転売」ではなく、
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不動産でいう「ボロ家を安く買ってフルリノベして賃貸に回す」に近い印象です。
◆ 何が“買われている”のか:ユーザー?ブランド?構造?
事実ベースで分かるのは、Bending Spoonsの狙いが短期転売益ではないということです。
一度も売っていないので、少なくとも「ファンド的な売却益ビジネス」ではない。
ここから先は完全に私の意見ですが、彼らが本当に見ているのは、
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すでに形成されている“習慣”や“導線”
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Evernoteなら「メモをここに書く」
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WeTransferなら「ファイル送るならここ」
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Eventbriteなら「イベント告知とチケットはここで買う」
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それらに紐づいた
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アカウント
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支払い情報
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メールアドレス
といった「ユーザーベース+決済ベース」をまとめて買う感覚に近いのではないか、と感じます。
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コードは書き直せます。
UIも変えられます。
でも、ユーザーの“いつもの場所”という感覚だけは、一から作るとものすごく時間がかかる。
Bending Spoonsは、その「いつもの場所」をディスカウント価格でまとめて仕入れ、
内部を刷新して、自分たち流の収益モデルに組み直しているように見えます。
◆ 日本ビジネスへの示唆:「ダメになったサービス」の捉え方
ここからは、日本のビジネスパーソン視点での話です(事実ではなく意見です)。
我々はつい、
「あのサービス、もうオワコンだよね」
と切り捨てがちですが、Bending Spoonsのモデルは、
「オワコンになった“事業”の中にも、
再利用できる“インフラ”や“習慣”は残っている」
という視点で見ています。
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国内でも、
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成長が止まった会員制サービス
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細々と続いているサブスク
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売上は落ちているが、ログインユーザーだけは一定数いるプラットフォーム
はたくさんあります。
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それを、
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「やめる/たたむ」か、
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「誰かに引き継いでもらい、“再生”してもらうのか」
という選択肢で見直すと、
日本でも**“デジタル事業のM&Aリサイクル市場”**が、もっとあってもいいのではないか、と思わされます。
Bending Spoonsは、
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古いブランド
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既存ユーザー
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続いているけれど疲れたプロダクト
を、「全部まとめて買って直す」という発想で、
結果として自社バリュエーションを110億ドルまで引き上げたわけです。
日本では、事業の畳み方に関する議論は増えていますが、
**「疲れたSaaS・古いWebサービスの再生専門ファンド」**のような存在は、まだ目立ちません。
Eventbrite買収のニュースは、
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「また古いサービスがどこかに買われた」
ではなく、 -
「古いデジタル資産の再利用ビジネスが本格化している」
という流れとして見ておく価値がありそうです。
まとめ
今回のメイン記事では、TECHパートのBending SpoonsによるEventbrite買収を起点に、
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「古いネット企業」たちが今どこへ向かっているのか
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それを買う側のイタリア企業は、どんなビジネスモデルなのか
という点が描かれていました。
事実として分かることを整理すると:
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Eventbriteは、
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IPO時17.6億ドル → 今回の買収額5億ドルと、
評価を大きく落として売却される。
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買い手のBending Spoonsは、
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Evernote
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WeTransfer
といった名の知れたサービスを既に傘下に収めており、 -
Vimeo
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AOL
の買収もクローズ予定。
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もともとはスクラップブックアプリのスタートアップだったが、その事業は失敗。
→ 12年前の創業から現在に至るまでに、
**「サブスク型デジタルビジネスを安く買い、総リビルドする会社」**へとピボット。 -
プレイブックは、
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苦戦中のプラットフォームを前回バリュエーションの一部の価格で買収
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大規模なレイオフを行い、コードから料金体系までを作り直す
というもの。
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そして、
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「短期転売」ではなく「長期保有(to hold forever)」を掲げ、
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これまで一度も売却した案件はない。
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その結果として、
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直近の資金調達では7.1億ドルを調達し、
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Bending Spoons自身の評価額は110億ドルに達している、と記事は伝えています。
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つまり、
「インターネットの“古い人気者”をまとめて引き取り、
長期目線で再生していく“目の付けどころが地味に鋭い会社”」
が、ミラノから世界中のサービスを拾い集めている構図です。
ここから先は私の解釈ですが、
Bending Spoonsが本当に買っているのは、
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コードでもなく
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テクノロジーでもなく
**「ユーザーの習慣」と「既に組み上がった導線」**なのだろうと感じます。
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Evernoteは「とりあえずメモはここ」という習慣。
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WeTransferは「大きいファイルを送るならここ」。
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Eventbriteは「イベント作るならここ」という導線。
これを一から作ろうとすると、
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ユーザー獲得コスト
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時間
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ブランド構築
に膨大なリソースがかかります。
一方で、「伸びなくなったサービス」は、
数字上は“オワコン”に見えるものの、
習慣という資産だけは残っている。
そこを安く買い、内部を作り直し、
別の収益モデルの上に再構築する——
という発想は、日本のデジタルビジネスやSaaSにも十分応用可能です。
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サービスを「やめる/閉じる」だけでなく、
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「誰かが引き継いで再生する」という選択肢を最初から設計しておくこと。
これは、これからのプロダクト設計やM&A戦略を考えるうえで、
静かに効いてくる視点ではないでしょうか。
Eventbriteのニュースは、
単なる「昔のサービスの身売り話」ではなく、
「デジタル事業の出口戦略と再生マーケットが、
世界レベルで立ち上がりつつある」
という流れとして、頭の片隅に置いておきたいところです。
気になった記事
「働いても増えない」アメリカ雇用のストレス
ECONOMYパートの雇用記事も、かなり重要なシグナルを含んでいます。
事実を整理すると:
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給与計算会社ADPによると、
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**10月は+47,000人(上方修正後)**だった米民間雇用が、
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11月には▲32,000人の減少に転じました。
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これは、2023年初頭以来で最大の民間雇用減少とのこと。
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特に打撃を受けているのが**小規模事業者(従業員50人未満)**で、
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この層だけで12万人の純減。
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一方、従業員50人以上の企業は、合計で9万人の増加となっており、
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伸びは鈍化しつつも、まだ人数自体は増やしている。
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業種別では、
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製造業、建設、情報、金融、ビジネス・プロフェッショナルサービスなどで人員削減。
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一方で、
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教育・ヘルスケア
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レジャー・ホスピタリティ
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資源・鉱業
などは従業員を増やしているとのこと。
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ADPのデータは、
政府の雇用統計が政府閉鎖の影響で12月16日まで遅れているなかで、
「労働市場の最新スナップショット」として、
市場参加者から特に注目されています。
記事が紹介する雇用悪化の理由も興味深いです。
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一部のエコノミストは、
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物価高などの経済的な逆風による**消費者の節約(belt-tightening)**が、
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小規模企業の採用意欲を冷やしていると見ています。
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製造業の調査では、
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企業の一部が、
トランプ政権の関税政策の不透明感を理由に、採用ペースを落としているとの回答もあったとのこと。
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これに対し、商務長官のハワード・ルトニック氏はCNBCで、
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雇用の弱さは関税とは無関係で、
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むしろ政府閉鎖が小規模企業を圧迫したのが原因だと主張。
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さらに、**強化された不法移民の送還(deportation ramp-up)**も影響したとしつつ、
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近く雇用トレンドは持ち直すだろうと予測しています。
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いずれにせよ、この記事が強調しているのは、
「この弱い雇用データは、来週の利下げを巡り、
FRB内で“より深い利下げ”を主張するグループの武器になる」
という点です。
実際、ADPのレポートを受けて金価格が上昇し、
“利下げ時に強い”ゴールド先物が買われたと記事は伝えています。
小さな商店や中小企業が雇用を減らし、そのニュースを受けて金が上がる。
数字で見るとそれだけの話ですが、
その裏には「雇っても売れない」「将来が読めない」という現場と、
「それなら金に逃げよう」という投資マネーの動きが、静かに重なっています。
小ネタ2本
小ネタ①:燃費規制の“巻き戻し”に自動車株が歓声
政治・規制サイドでは、自動車の燃費基準に関するニュースもありました。
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トランプ大統領は、
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自動車各社に対し、2031年までに平均燃費34.5mpgを求める新たな提案を発表。
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これは、
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バイデン政権が掲げていた50mpg目標よりかなり緩く、
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多くのEV販売を前提とした旧ルールからの大幅な後退です。
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記事によると、
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大型SUV・トラックで稼ぐフォード、GM、ステランティスにとっては、
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タリフ(関税)では痛い目を見てきた一方で、
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環境規制の緩和は利益面では追い風。
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ステランティス株は、この報道が出たところから8.5%上昇、
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フォードは+1.7%、GMは+3.6%と、自動車株は総じて好反応。
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フォードのジム・ファーレイCEOは、
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「市場の現実に沿った燃費基準に合わせてくれたトランプ大統領のリーダーシップに感謝する」
とコメントしています。
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一方で、環境・クリーンエネルギー団体からは当然ながら批判の嵐で、
新基準は訴訟で争われる可能性が高いと記事は見ています。
小ネタ②:富裕層も“100均”へ?Dollar Treeの逆襲
もう一つの小ネタは、小売りのDollar Tree。
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ここ数年、品質問題や買収したFamily Dollarの不振などで苦戦していた同社ですが、
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今回は予想を上回る決算と通期見通しの上方修正で株価が上昇。
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その背景にあるのが、
→ **高所得層の“トレードダウン(安い店へ乗り換え)”**です。
記事によると、
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第3四半期に新たに300万世帯がDollar Treeで買い物をし、
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その約60%は世帯年収10万ドル超。
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CEOのマイケル・クリードンJrは、
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「今や我々は、コアなバリュー志向の世帯だけでなく、
どこでどうお金を使うかを慎重に考える中間層・高所得層まで、
幅広い顧客をサービスしている」
と語っています。
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インフレが強まった2022年頃から始まったと言われる**ディスカウントストアへの“トレードダウン”**は、
いまだに続いており、Dollar GeneralやWalmartなどライバルにも追い風となっていると記事は指摘します。
かつて不振にあえいでいたDollar Treeが、
「節約したい高所得者の駆け込み寺」になっているというのは、
なかなか象徴的な風景です。
編集後記
「Eventbrite、Bending Spoonsに5億ドルで売却」というニュースを読んで、
正直ちょっとホッとしました。
てっきり、知らないうちに
「サービス終了のお知らせ」が来るパターンかと思っていたら、
イタリアから「うちで預かりますよ」という人が現れたわけです。
インターネットの世界では、
一度“旬”を過ぎたサービスは、
しばらく放置されたあと、
ある日突然アクセスすると「404」になっている——
そんなエンディングが珍しくありません。
でも、Bending Spoonsのように、
「その古いサービス、安くなったら全部ください」という企業が出てくると、
少なくともユーザーとしての“記憶”が、もう少し長生きする可能性が出てきます。
一方で、同じ紙面には、
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小さな店が12万人規模で人を減らしている話
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高所得者がDollar Treeで値ごろ品を漁る話
が並んでいます。
古いネット企業は、イタリアの再生工場に引き取られていく。
その横で、メインストリートの“Mom and Pop”なお店は、
人員削減でなんとか生き延びようとしている。
どちらも資本主義の一場面ですが、
どちらのニュースに心が動くかは、人によって随分違いそうです。
個人的には、
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EvernoteやWeTransferの名前を見ると、
「ああ、昔よく使ってたな」と懐かしくなり、 -
ADPの雇用統計を見ると、
「ああ、これは将来の売上にじわっと効くやつだな」と冷静になり、 -
Dollar Treeの話を読むと、
「年収10万ドルの人も“100均”に行くなら、日本のドラストに外国人が殺到するのもそりゃそうか」と妙に納得します。
結局のところ、景気の良し悪しは
「どのニュースに自分を重ねるか」で見え方が変わるのだと思います。
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古いサービスを“再生”する側に自分を重ねるか
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人を減らす側に重ねるか
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値段の安い店を探す側に重ねるか
同じ統計でも、立ち位置が違えばまったく別の物語になります。
ビジネスで大事なのは、
「どの物語がこれから太くなるか」を想像することですが、
投資で大事なのは、
「自分はどの物語に乗る覚悟があるか」を自覚することかもしれません。
次に何かのサービスが「○○社に買収」と出てきたら、
ぜひ一瞬だけ、
「ここにはどんな“習慣”と“導線”が残っているんだろう?」と考えてみてください。
そして、ホリデーシーズンのセール広告を眺めるとき、
もしDollar Tree的なお店に足が向いていたら——
あなたは世界の“トレードダウン”トレンドのど真ん中にいる、
ということかもしれません。
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