🔥📌深掘り記事:ウォール街がAIに“もう一度”惚れる条件
まず結論
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もう「AIだから上がる」は終わり。2026年は“実売上”と“投資効率”で査定
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投資家が見たいのは、夢ではなく**「実際に儲かった/コストが下がった」証拠**
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比較対象は、かなり露骨に**Google(Alphabet)の“効率”**になってきている
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逆に危ないのは、投資が先行しすぎる企業(例:Oracle)。契約残(RPO)は“確定売上”じゃない
✅事実(記事のファクト):何が起きている?
記事は、いわば“宣告”から始まっています。
「ウォール街のAIハネムーンは終わった」。投資家は、将来の希望だけでAI株を買い上げなくなる、と。
そのうえで、投資家サイドの要望はかなり具体的です。
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「気分が良くなるには**actual revenue(実際の売上)**が必要」
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AIが儲かる/節約できる形で、商品・サービスに落ちている証拠が欲しい
そして数字も出てきます。
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ハイパースケーラー(巨大クラウド勢)は、2025年末までに約7,000億ドルを支出見込み
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ただし、その投資対効果(ROI)は計算が難しい
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さらに、テック大手の投資は**世界のcapexの約20%**で、収益・利益のシェアと概ね整合的だとMSCI側の分析(Ashley Lester氏)
ここまでは「金は使ってる。だが、成果の見え方が弱い」状況説明です。
🧾重要論点:2026年の採点基準は「節度×リターン」
記事が一番言いたいのはここです。
2026年は、テック投資家が“ファンダメンタルズ回帰”する年。
つまり、
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ただの支出(capexドヤ)ではなく
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節度ある支出(disciplined spending)+リターン(returns)
のセットを見せろ、と。
この「節度」がきつい。なぜなら、AIは油断すると“青天井”で金を吸うからです。GPU、データセンター、電力、採用、買収。やることが多すぎる。
⚙️「効率のベンチマーク」はGoogleになった(という現実)
ここ、投資家の空気がはっきり出ています。
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「今後はGoogleが持っている効率性を基準に、全員がベンチマークされる」
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Alphabet株は過去6か月で+75%(同期間のS&P 500は約+13%)
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Googleはcapexを**年商の約1/4(25%)**に抑えている
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一方で競合(例:Meta)は、支出計画が年商の半分近くまで行くケースがある
投資家が“効率”を褒めるのは合理的だ、とBloomberg Intelligenceのアナリストは言う。
ここで重要なのは、AIの評価が「技術力」だけじゃなく、財務の運用能力に移っている点です。
AIの覇権争いって聞こえは派手ですが、投資家の目は最終的にこうなります。
「それ、いくら使って、いくら返ってきた?」
🧨危険信号:Oracleの強気シナリオは“RPO頼み”だが…
記事はOracleを、効率重視に転ぶと痛い会社として名指しします。
Oracleの強気材料の一つが、
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RPO(Remaining Performance Obligations:契約済みの将来収益の見込み額)
ただし記事ははっきり釘を刺します。
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RPOは保証されない
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顧客がキャンセル/再交渉すれば縮む
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供給能力(キャパ)を間に合わせられないと、提供できずに問題化する
要するに、RPOは「未来の売上の予約表」ですが、
その予約表は、天候と交通事情で簡単に崩れる。
2026年に“厳しい審査員”が増えるなら、RPOは「安心材料」から「精査対象」に変わります。
👀次の火種:広告(OpenAIの広告参入が相場を変える?)
記事の終盤は“次の材料”も提示します。
Bloomberg IntelligenceのSingh氏は、
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OpenAIが今後6か月で広告商品を出す可能性
を示唆します。
OpenAIは今年約200億ドルの売上見込みとされ、広告で上振れが起きれば、AIラリーの燃料になり得る。
逆に言えば、広告のような“わかりやすい収益モデル”が出ない限り、投資家は「見せ金じゃなく、見せ売上」を待つ。
✅結論(意見):AI相場は「夢」から「経営」へ移った
ここからは私の意見です。
AIは終わりません。むしろ社会実装は進みます。
ただし株式市場の評価は、2026年から急に現実的になります。
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以前:AIに賭けている会社が強い
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これから:AIで儲けた会社が強い
そして“儲けた”の定義は2つしかない。
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売上が増えた(新しい収益)
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コストが減った(利益率の改善)
この2点を、四半期ごとの数字で見せられない企業は、AIの夢を語っても株価がついてこない。
ウォール街がAIに自信を取り戻す方法はシンプルです。
AIで、金を稼ぐか、金を節約するか。どっちかを見せる。
それだけです。
🧾🧠まとめ
ウォール街ではAI相場の“甘い時間”が終わり、2026年はテック投資家がファンダメンタルズをより厳しく見る年になると記事は述べます。投資家が求めるのは将来の希望ではなく「実際の売上(actual revenue)」であり、AIが商品・サービスとして収益を生む、またはコスト削減で利益を押し上げる証拠です。ハイパースケーラーは2025年末までに約7,000億ドルを投じる見込みですが、投資対効果の把握は難しく、投資が許容されてきた局面から「リターンを見せろ」という局面へ移っています。効率の比較軸としてAlphabet(Google)が浮上しており、同社株は過去6か月で+75%とS&P 500(約+13%)を大きく上回ります。Googleはcapexを年商の約1/4に抑える一方、競合には年商の半分近い投資姿勢もあり、市場は効率を褒め、非効率を罰する方向にあると示唆されます。効率重視への転換はOracleのような企業に痛手になり得ます。強気材料とされるRPO(契約済み将来収益見込み)は保証されず、キャンセルや再交渉、供給能力不足で縮む可能性があるためです。今後の注目点として広告が挙げられ、OpenAIが今後6か月で広告商品を出す可能性が指摘されます。収益化の見え方が改善すればAIラリーの追い風になり得る一方、投資家は「AIがすごい」ではなく「AIで儲かった」を待つ、というのが記事の骨子です。
⚖️🤖気になった記事
「AI規制、左右対立じゃない」──トランプEOが作った“ねじれ地図”
トランプ大統領が署名したAIに関する大統領令(EO)は、州ごとの規制を抑え、**「単一の国家的枠組み」**へ寄せる狙いだとされています。ホワイトハウスは、州ごとのバラバラ規制(パッチワーク)がイノベーションを阻害し、中国との競争にも不利になるという立場で、テック企業側もこの方針を支持してきた、という構図です。一方で、米国の州の約半数が何らかのAI規制(例:アルゴリズム価格の制限、AI生成物の商用利用の禁止など)を持つとされ、今後は法廷闘争が見込まれます。
面白いのは、反発が単純に「民主党=規制、共和党=規制緩和」になっていない点です。民主党側は消費者保護を強めたい。これは想像通り。しかし共和党内でも、フロリダ州知事ロン・デサンティスが「Big Techへの補助金だ」と批判し、州の権利が薄まる点を懸念。さらにスティーブ・バノンはAIを「史上最も危険な技術」「雇用の黙示録」とまで表現し、規制を求める姿勢を見せています。これは左派のバーニー・サンダースの問題意識とも一部で重なります。
世論面では、9月のギャラップ調査で「成長が遅くなってもAI安全を優先すべき」が80%という強い数字が出る一方、WSJは「有権者の世論調査では、AI懸念は大きな争点になっていない」と報じる。つまり、政治は燃えているのに、票はまだ燃えていない。この“温度差”が、2026年以降の規制を一番読みにくくしています。
🎁🛍️小ネタ2本
🎲🧸小ネタ①:プレゼントが「ガチャ化」する世界(ブラインドボックス)
今年のギフトトレンドに「ブラインドボックス(中身が見えない箱)」が本格参入。Spin Masterは昔からやってましたが、MattelやHasbroのような大手も“本気で乗ってきた”。背景にいるのがPop MartのLabubu人形のバズ。つまり、贈り物が「相手の好み」より「開封のドラマ」を買い始めている。ギフトが体験化してるんですね。ちなみにNRFによると、関税で**85%の消費者が“今年は高くなる”**と見ていて、**ギフトカード(予算管理がしやすい)**が人気。中古ギフト検討も約6割。ロマンは残しつつ、財布は現実寄りです。
🛒🤖小ネタ②:小人じゃなくてAIが手伝うサンタ(AI流入800%)
Adobe Analyticsによると、米国の小売サイトへのAIドリブントラフィックがブラックフライデー週末に前年比+800%。要するに「探す・比べる・決める」をAIにやらせる人が急増。これ、地味に大きいです。広告より先に“購買行動の導線”を握る可能性があるから。AIが買い物の入口に立つと、強いのはブランドというより、AIに選ばれやすい情報設計をしている店です。文章が苦手な人ほど、AIの要約とおすすめが効く。つまり来年は「SEO」だけじゃなく、「AIに読まれる設計」も商売の勝敗を決めそうです。
✍️🌲編集後記
AI投資の話って、なぜか“根性論”になりがちです。
「今は赤字でもいい、未来のためだ」
「capexは正義、勝つまで突っ込め」
言ってることはわかる。わかるんですが、投資家って、こちらがロマン語で熱弁している横で、電卓を叩き始める生き物なんですよね。しかも、叩くのが早い。
今回の記事が面白いのは、AIそのものを否定していないのに、“買われ方”だけが変わったと宣言している点です。
ハネムーンが終わった、っていう言い方が最高に現実的。結婚生活って、別に愛が消えるわけじゃない。ただ、洗濯物を誰が畳むか、という議題が急に重要になる。AI相場も同じで、「未来は明るい」の次に来るのは「じゃあ今期の利益率は?」なんです。
そして、効率の基準がGoogleになる。これ、残酷で、同時に公平です。
AIがすごいかどうかじゃない。
AIで稼げるか、節約できるか。
そこに“ブランド”も“ストーリー”も関係ない。数字が出た会社が勝つ。
一方で、世の中はギフトがガチャ化し、ツリーは本物か偽物かで議論し、買い物はAIが手伝う時代になってきた。
要するに、私たちはもうAIと一緒に暮らしている。
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