👑 深掘り:AI株の勝者を選ぶ新ルールは「OpenAIとの距離」
AI銘柄選びが、急に単純になり始めています。
半導体か、クラウドか、ソフトウェアか――そんな分類よりも、いまウォール街で流行っている問いはこれです。
「あなたはOpenAIと、どれくらい近いですか?」
Jefferiesのテック戦略家ジェフリー・ファヴッツァは、少なくとも2026年1Qの相場をこう要約します。
「トレードの中心は“OpenAIとの結びつき”だ」。
なぜそんな話になるのか。
理由は規模です。OpenAIは今後8年間で、1.4兆ドルの支出コミットメントを抱えているとされています。
この“巨大な財布”が、AIインフラ企業にとっての雨乞いどころか、ほぼ洪水になっている。
ただし、ここで一度、冷たい水を飲みます。
OpenAIは現時点で利益を生んでいない、資金燃焼型のスタートアップです。
つまり「巨大な支出計画」は、同時に「巨大な支払い義務」でもある。
ここが、AI相場の甘さと怖さが同居するポイントです。
✅ OpenAIマネーの受け皿はどこか
記事が挙げた“受益者候補”は、だいたい次の系統に分かれます。
① クラウド(計算資源とデータセンター)
OpenAIはOracleと、最大3000億ドル規模のクラウド契約を結んだと報じられています。
さらにGoogleやAmazonなど、他のクラウド勢もAIインフラ提供で支払いを受ける立場になる。
② 半導体・チップ(AIを動かす心臓部)
OpenAIはNvidia、Broadcom、AMDにAIチップ代を払う。
需要が伸びれば、支払いも伸びる。
③ GPUクラウド(今いちばん“現金化”しやすい現場)
CoreWeaveとのGPUクラウド契約があり、ChatGPT需要が伸びる限り使用拡大が見込まれる。
④ 周辺ソフト(AI開発・運用の足回り)
Databricks、TSMC、Datadog、Palantir、MongoDB…なども“勝ち組候補”として名前が出ています。
要するに、現時点での勝者は「アプリ」ではなく「土台」。
ファヴッツァは、AIインフラ(チップ、クラウド、データセンター)が勝ち、
アプリケーション層は負けていると言います。
具体例としてAdobe、Workday、Salesforceが挙げられています。
彼らもAIを語るが、今の相場では「革命の道具を売る側」より「革命の道路を敷く側」の方が評価されている。
⚠️ でも、全員がOpenAIの“連帯保証人”でもある
ここからが本題です。
AI相場の上昇は「OpenAIが払う」という前提で成り立っています。
つまり、OpenAIがつまずけば、
「OpenAIと近い企業」は、勝者どころか巻き添え候補になります。
Bank of Americaのヴィヴェック・アリヤは、OpenAIが失速するリスクについて「不確かだ」と答えています。
強気ではあるが、確信はない。
特に監視される“負け組候補”として挙げられているのが、
CoreWeaveとOracle。
OpenAIからの収益期待が大きい分、依存度が高い。
また、Amazonについては「チップ戦略が成功するか」を見られています。
(=自社チップで勝てるか、OpenAI需要の波に乗れるか)
そして最大の観測点は、OpenAIのマネタイズです。
💸 OpenAIはいつ“本当に稼ぐ会社”になるのか
記事では、OpenAIの収益化は2026年初頭に広告で来る可能性が示唆されています。
さらに、企業向けの収益化も焦点。
OpenAIが元Slack CEOのデニース・ドレッサーをCRO(最高収益責任者)に採用したのは、企業販売を本気で拡大するサインだと見られています。
ここで重要なのは、OpenAIが稼げるかどうかが、
OpenAI自身だけでなく、周辺銘柄の“安全神話”を左右する点です。
もし稼げなければ――
1.4兆ドル超のコミットメントは、
「成長投資」ではなく「支払い不能リスク」に見える。
そうなると、いま相場を支えている“インフラ勝ち組”の
将来利益予測(フォワードEPS)が圧迫され、相場全体も揺れます。
結論。
AI相場は「OpenAIが金を使う」ではなく、
**「OpenAIが金を稼いで、使い続けられる」**かに賭け始めています。
🧾 まとめ:AI株は“OpenAI連動相場”に入った。強いが、脆い
いま市場がやっているのは、実質これです。
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OpenAIの支出計画は、周辺企業の売上見通しを押し上げる
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周辺企業の見通しが、AI相場全体の強気を支える
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だから投資家は「OpenAIに近い銘柄」を買う
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その結果、AI相場がさらに強く見える
この循環は、うまく回っている間は非常に強い。
ただし、循環の中心にいるOpenAIは、現時点で利益が出ていない。
つまり、これは「勝者選び」というより、
“親玉の資金繰り”を見張るゲームになってきています。
当面はインフラ優位が続きそうです。
ただ、アプリ層が一斉に買われる“反AI相場”が時々起きるとも指摘されています。
そして今のところ、それは続いていない。
=まだインフラ相場が終わっていない、という見方が強い。
強い。
でも、脆い。
🎅 気になった記事:サンタクロースラリーは来るのか(そして来ないと何が起きるのか)
ウォール街は年末恒例の儀式が大好きです。
その代表が「サンタクロースラリー」。
定義は単純で、
12月最後の5営業日+1月最初の2営業日に株が上がりやすい、という経験則です。
今年、その期間は「明日から」スタート。
S&P500は今月0.4%高、年初来で17%上昇し、前日に6,878で引けています。
統計も強気を煽ります。
1928年以降、12月後半2週間でS&P500が上昇した確率は75%。平均上昇率は1.3%(Citadel Securitiesのデータとして報じられた)とされています。
ただし、昨年と一昨年は下落。
それでも大きな崩れには繋がらなかった。
1972年に『Stock Trader’s Almanac』のイェール・ハーシュが残した有名な言葉が引用されています。
「サンタが来なければ、ベア(弱気)が来る」。
もっとも、ここは毎回オチがつきます。
「過去は未来を保証しない」。
期待が高い分、来なかったときの失望が大きい。
これが“年末イベント相場”の癖です。
🥇 小ネタ①:金と銀が過去最高へ。投資家は“現実逃避”を始めたのか
金と銀が、今年ずっと強く、昨日は過去最高を更新。
プラチナやパラジウムも上昇しました。
背景は二つ。
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地政学リスク(例として米国がベネズエラに圧力)
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米金利低下によるドル安 → 安全資産(ゴールド)買い
さらに銀は、トランプ政権の「国家安全保障上重要な鉱物」リストに加わったことも追い風とされています。
記事は、1979年以来の強い年になり得ると書きます。
1979年はイラン革命、石油危機、ソ連のアフガニスタン侵攻など、地政学が荒れた年。
つまり、金銀の上昇は「儲けたい」だけではなく、
世界が落ち着いていないことの温度計でもあります。
🏭 小ネタ②:AI投資ブーム、GDPを押し上げたのは“企業”じゃなかった
今年前半、GDPは企業投資(特にAI関連)が支えた。
…という物語がありました。
でもQ3(7〜9月期)の内訳は、そこまで派手ではありません。
非住宅固定投資(企業投資)のGDP寄与度は0.4ポイント。
Q1の1.24ポイント、Q2の0.98ポイントから大きく低下。
成長の主因は、消費と貿易の変動だった。
AI関連のサブカテゴリーも同様で、
情報処理機器投資の寄与は0.16ポイント、ソフトウェアは0.07ポイントと“控えめ”。
ここでのポイントは、
投資が高水準で続いても「上乗せ成長」にはなりにくい、というGDPの算数です。
(高い水準が“維持”されても、伸びが鈍れば寄与度は落ちる)
ただし、2026年に向けて税制が投資を促し、AI機会が成熟すれば、再び企業投資が伸びる可能性はある。
ただ、一直線ではない。そう釘を刺しています。
📝 編集後記:市場は“OpenAI株”を探している。でもOpenAIはまだ株じゃない
面白い時代です。
投資家は「OpenAIに近い銘柄」を探している。
でもOpenAIは上場していない。
だから周辺銘柄に資金が集まり、
「OpenAI連動相場」ができる。
ただ、ここに落とし穴があります。
周辺銘柄はOpenAIの成功を先取りできる一方、
OpenAIの失速リスクも先に背負う。
つまり、成功したらご褒美。
失敗したら連帯責任。
これ、なかなか人間関係だと地獄です。
結局、いま市場が本当に見たいのは、
OpenAIが広告や法人向けで“ちゃんと稼ぐ会社”になれるかどうか。
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