「AIが仕事を奪う?米企業のレイオフ最前線と投資の新潮流」

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AIでリストラが“株価を押し上げる”時代に突入?

つい数年前まで、大企業が大量解雇を発表すると投資家は「経営危機か?」と心配し、株価が下がるのが常でした。
ところがいまアメリカでは逆の現象が起きています。CEOが「AIのおかげで社員を減らしました」と胸を張り、投資家は拍手喝采。株価がむしろ上がる時代になっているのです。


セールスフォースCEOの発言が象徴的

CRM(顧客管理)ソフト大手のセールスフォースCEO、マーク・ベニオフ氏はポッドキャストでこう明かしました。

  • 4,000人のカスタマーサービス職を削減

  • 「AIが業務の50%を担っている」と公言

  • 第2四半期決算は売上・利益ともに市場予想を上回る“ダブルビート”

ただし第3四半期の見通しは弱めだったため、発表後の時間外取引では株価がやや下落しました。それでも「AIでスリム化=利益率向上」というストーリーが投資家に受けているのは事実です。


他の大企業も続々とAIリストラ

  • ウェルズ・ファーゴ:20四半期連続で人員削減を公表。株価は過去5年で228%上昇。

  • バンク・オブ・アメリカ:15年間で8.8万人を削減。2020年以降の株価は約95%上昇。

  • アマゾン:AI導入により人員削減を計画。株価は過去1年で28%アップ。

  • マイクロソフト:わずか2カ月で1.5万人削減。AI転換を打ち出しつつ株価も上昇。

まさに「リストラは株価を上げる施策」と化しています。


労働市場に与えるインパクト

HR Diveによれば、34%のCEOが今後12カ月以内にレイオフを予定しており、5四半期連続でその割合は上昇中。
ブルッキングス研究所のモリー・キンダー氏は「労働者にとって良いニュースではない」と警鐘を鳴らします。

日本の読者にわかりやすく言えば、これは「銀行の窓口業務をネットバンキングが奪う」現象の全米版。より規模が大きく、スピードも速い。つまり、ホワイトカラーの安泰神話が崩れつつあるのです。


まとめ

AIは業務効率を飛躍的に高め、企業にとっては利益の源泉になりつつあります。
一方で、雇用を失う人々は増加し、格差が広がる懸念も。

「AIが雇用を壊すのか、それとも新しい働き方を生むのか?」
次の数年で答えが見えるかもしれません。


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シェア別荘で1.3兆ドル市場に挑む「Pacaso」

シリコンバレーの投資家たちが注目するスタートアップがあります。その名はPacaso(パカソ)
創業者オースティン・アリソン氏は、以前Zillowに自身の会社を1億2千万ドルで売却した実績のある起業家です。


Pacasoのビジネスモデル

  • 別荘の共同所有プラットフォームを提供

  • 利用日をシェアし、維持費を分担

  • 2020年の創業から累計1億1千万ドル以上の利益を計上

  • 2024年は前年比41%成長

さらにNASDAQのティッカー「PCSO」まで予約済み。IPOを視野に入れているのは間違いありません。


投資家の熱視線

Uber、Venmo、eBayを支援したVCがこぞって出資。すでに1万人以上の投資家が参画しています。
日本で例えるなら「別荘のタイムシェア版Airbnb」といったイメージ。コロナ後の旅行需要の高まりとマッチしているため、今後の成長余地は大きいと見られています。


まとめ

不動産市場は保守的で参入障壁が高い業界ですが、Pacasoのモデルは“所有の民主化”を推し進めています。
「所有=一人ではなく、みんなで分け合う」──。これは日本の空き家問題や地方活性化のヒントにもなりそうです。


小ネタ1

アマゾン、プライム会員の「シェア特典」を終了

アマゾンはこれまで「Prime Invitee」プログラムを通じて、会員が同居していない友人に送料無料特典をシェアできる仕組みを提供していました。
しかし10月1日をもって終了に。

代わりに対象者には初年度14.99ドル(通常139ドル)の特別価格で個人加入を勧めています。
家族向けには「Amazon Family」でシェアが可能ですが、友人間の“おすそ分け”はNGに。
利用者からは「結局は会員数を増やしたいだけでは?」と冷ややかな声も出ています。


小ネタ2

フロリダ州、全ワクチン義務を撤廃へ

フロリダ州知事ロン・デサンティス氏と州の医務総監が記者会見で「すべてのワクチン義務を撤廃する」と発表しました。
対象ははしか・ポリオ・水痘・B型肝炎など、これまで公立学校入学に必要だったワクチンも含まれます。

専門家は「感染症の大流行につながる」と強く批判。CDCによれば、1994年以降、定期接種で110万人の子どもの命が救われ、5,400億ドルの医療費削減につながったとされています。

フロリダ州は全米初のケース。他州が追随するかどうか、今後の大きな注目点です。


編集後記

今回はAIリストラと不動産テックという、まったく異なるテーマを取り上げました。
個人的には、セールスフォースCEOが「AIが業務の半分を担っている」とあっさり言ってしまうのが衝撃的でした。もう“未来の話”ではなく“今そこにある現実”なんですよね。

一方でPacasoのようなスタートアップを見ると、テクノロジーが人の暮らしを便利に、豊かにする可能性も感じます。
AI=雇用破壊者、ではなく、AI=生活革新ツール、そう捉えたいものです。

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