タリフ無風?市場は「トランプ関税」に慣れっこに

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投資家が無視する「トランプ関税」

トランプ大統領が新たに発表した家具・トラック・医薬品への高関税。しかし市場は驚くほど冷静でした。株式市場はむしろ上昇し、投資家の多くは「今回も大した影響はない」と判断しています。

新関税の内容

  • 家具(キッチンキャビネット、ソファなど):30〜50%

  • 大型トラック:25%

  • 米国内で工場を建設していない製薬会社の薬:100%

通常なら株価が一斉に下落してもおかしくない内容ですが、Dow・S&P500・NASDAQ・Russell2000はすべて上昇。

なぜ市場は動じない?

  • 過去の経験:春に発動された第1弾関税では株価が急落 → しかし数カ月で急回復。

  • 企業の対応力:多くの企業がすでに「関税吸収戦略」を進めており、調達ルート変更や値上げを想定済み。

  • 投資家心理:「どうせまた乗り越えるだろう」との慣れ。

Wayfair(家具EC)は朝に下落したものの**最終的に+1.6%で終了。逆に米国内生産比率が高いPaccar(トラックメーカー)は+5.2%**と大幅上昇。

一方、RH(高級家具小売)は一時-4.2%と打撃を受けましたが、それでも8月頭より高い株価で着地。つまり「警戒する銘柄はあるが市場全体は無風」というのが実態です。

今後の焦点

  • 誰がコストを負担するのか?
     メーカー? サプライヤー? それとも消費者?

  • 企業努力の限界:短期的には対応できても、長期的には利益率を圧迫する可能性あり。


まとめ

今回の「タリフ騒動」を見ていると、株式市場が驚くほど順応性の高い生き物であることがわかります。春の第1弾で大混乱を経験した投資家は、もう「またか」と思っているのでしょう。結果的に、DowやS&P500は上昇し、むしろ国内生産をしている企業に追い風となりました。

投資家心理の背景には「米企業の底力」があります。世界中から調達ルートを引き直し、関税分を消費者に転嫁したり、国内生産比率を高めたり。企業のフットワークの軽さが「株価の安定」に直結しています。日本でも輸入食品の関税や円安局面で、メーカーが「小分けサイズで値上げ感を薄める」など工夫するのと似ています。消費者にはじわじわ効いてくる一方で、企業は利益を確保するわけです。

ただし安心は禁物。短期的には投資家が「関税慣れ」していても、長期的には企業収益をじわじわ削るリスクがあります。特に家具や自動車のように輸入依存度の高い業種は、コスト増が避けられません。市場が本当に動揺するのは「誰がコストを負担するか」が明確になったときでしょう。

投資家にとっての教訓は、「ニュースヘッドラインに踊らされない」こと。むしろ企業決算や収益見通しを冷静に追う方がよほど正確なシグナルを得られます。逆に消費者にとっては「知らない間に生活コストがじわじわ上がる」未来が待っているかもしれません。

つまり今回の関税劇は、表向きの株価には無風でも、私たちの財布には静かに波紋を広げている。市場が楽観している時こそ、家計の側は現実を直視する必要があるのです。


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編集後記

株価が「トランプ関税」を無視する姿を見て、ちょっとした“慣れ”の怖さを感じました。人間も市場も、繰り返される刺激に鈍感になるものです。最初は「大変だ!」と騒ぎ、次には「まあ大丈夫だろう」。その油断が一番危うい。

日本の物価高も同じで、最初は「え、また値上げ?」と驚いても、今では「仕方ないよね」と諦め気味。慣れた瞬間に、実は一番損しているのかもしれません。

市場の冷静さは一見頼もしいですが、そこに潜むリスクを見落とさないことが投資家にも生活者にも必要です。「無風に見える時こそ、足元を確認する」──そんな姿勢を忘れずにいたいものです。

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