■ トピック
——ドルが揺れるたび、ビットコインは笑う。
仮想通貨ビットコインがついに12万6,000ドルを突破しました。年初から3倍以上、過去最高値をあっさり更新です。
もはや投機ではなく、“もうひとつの通貨”として市場が受け入れ始めています。
この上昇を支えているのは、インフレ懸念でも、FRBの金利政策でもありません。
むしろ「ドルが信じられない」という心理そのものです。
アメリカ政府の一部閉鎖、債務上限問題、関税政策──政治が混乱するほど、人々は「国家が発行するお金」より「誰も管理できないお金」に逃げていく。
マーク・キューバンも「金じゃなくてデジタルゴールド(BTC)を買う」と言い切りました。
かつてビットコインは、“一夜にして億万長者を生むカオス”の象徴でした。
しかし今回は違います。2024年初からじわじわと、まるで本物の通貨のように「静かに上がり続けている」。
それは、ETF承認・機関投資家の参入・トランプ政権の後押し──そして何より、「信用を求める心理」が背景にあるからです。
金の時代から、信仰の時代へ。
ビットコインはもはや「数字の金」ではなく、「政府を信じない人々の宗教」になりつつあります。
■ まとめ
2025年、世界中で「紙幣よりも信頼できるものは何か?」という問いが再び浮上しています。
その答えとして登場しているのが、皮肉にも“人間の手を離れた通貨”=ビットコインです。
FRBが金利を下げようが上げようが、ドルの価値は政策に縛られます。
一方でビットコインは、中央銀行の外で価値を形成する。
その「独立性」こそが、混乱の時代の最大の魅力になっています。
興味深いのは、今回の上昇が「狂乱」ではなく「成熟」だという点です。
以前のバブル期はSNSで煽りが広がり、数週間で暴騰・暴落を繰り返しました。
しかし今回は、ゆるやかで安定した“ロングパラボラ(長い放物線)”の上昇。
その背後にはETF・年金基金・ヘッジファンドといった制度資金の参入があります。
つまり、かつて“若者のギャンブル”だったビットコインが、今や“富裕層と機関の資産防衛手段”に変わったということです。
ただし、これを「安定」と呼ぶのはまだ早い。
国家の通貨を代替するほどの力を持ち始めた瞬間、それは政治の標的にもなります。
「デジタル金」は、いずれ規制という名のハンマーで叩かれるかもしれません。
それでも人々は逃げ場を探すでしょう。
ドルが信用を失い、政治が機能不全になっていくなかで、
「誰も信じられないなら、アルゴリズムを信じる」──
それが、この時代の信仰告白なのかもしれません。
■ 気になった記事
✈️ 政府閉鎖、空からの圧力
政府閉鎖による“給料なし勤務”が続く中、全米の空港で遅延と混乱が発生しています。
シカゴ、ナッシュビル、デンバーなどでは航空管制官の欠勤(いわゆる“サイレント病欠”)が相次ぎ、
一部の空港では数時間にわたり「管制官ゼロ」の時間帯も。
これは、2018〜19年の政府閉鎖時にも決定打になった「空のストレス再現」です。
「国会で口喧嘩している間に、飛行機が飛ばなくなったらどうするんだ」と経済界が怒る──
このプレッシャーこそ、政府を再稼働させる現実的な力です。
ある管制官はこう漏らしました。
「後輩に生活費を貸してまで職場を回すなら、俺たちは何のために働いてるんだ?」
地上より空のほうが混乱している。
でもたぶん、どちらも似たような高度で迷走しています。
■ 小ネタ① 🤖 「死者がしゃべる時代」
ロビン・ウィリアムズやジョージ・カーリンといった故人が、AIによって“蘇る”動画がSNSで拡散中。
OpenAIの動画生成サービス「Sora」は、本人が生前に拒否していない限り、亡くなった著名人の姿も自由に生成できます。
「アートではなくホットドッグだ」と娘ゼルダが激怒するのも無理はありません。
AIが“人の記憶”を再生産する時代、**「誰の声で語るか」より「誰の心を踏みにじるか」**が問題になりそうです。
■ 小ネタ② 🍳 ホールフーズ発・2026年の食トレンド
冷凍食品と脂肪がカムバック。
「健康的にズボラしたい」人々に向けて、牛脂や果実系スナックが再評価されているそうです。
やっぱり人間、結局“楽でおいしい”には勝てない。
■ 編集後記
——ビットコインが12万ドル。
ニュースを聞いても、昔ほど驚かなくなりました。
かつては「こんなバカな」と笑っていた人が、今は「まぁそうなるよね」とつぶやく。
世の中、信じるものが変わっただけで、誰も救われちゃいない気がします。
考えてみれば、政府も企業も、人の信頼を担保に成り立っています。
その信頼がすり減れば、人は“目に見えない誰か”ではなく“数式”に頼りたくなる。
人が人を信じられなくなったとき、ビットコインが流行る。
それって、けっこう寂しい話です。
でも皮肉なことに、AIも仮想通貨も、作っているのはやっぱり人間。
「信用できるものを作りたい」という願望が、
「人を信用できない社会」を生み出している。
人類の進歩って、いつもそんな矛盾を抱えてますよね。
とはいえ、チャートの右肩上がりを見ると、
つい“乗り遅れたくない”って気持ちもわかります。
結局、どんな時代も人間の欲望はかわらない。
金でもドルでもBTCでも、
私たちがほんとうに求めてるのは「安心して眠れる夜」だけなのかもしれません。
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