🪙 金が4,000ドルを超える日──「ドル離れ」は静かに始まっている

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■ トピック

——金が上がるとき、人の「信頼」は下がっている。

金(ゴールド)が、ついに1オンス4,000ドルを突破しました。
株高と同時に金が上がるという“ありえない”現象が起きています。
その裏で、ドルへの信頼が少しずつ崩れ始めていると市場関係者は見ています。

金の上昇は投資家が「ドル建て資産」から距離を置き始めたサインです。
米国では政府閉鎖が続き、債務の膨張、関税政策、インフレの再燃など、
“アメリカという国の安定”に疑問符がつき始めています。

元PIMCO CEOのモハメド・エル=エリアンはこう語ります。

「人々は“米国企業”を買い、同時に“米国の混乱”を売っている」

つまり、アップルやマイクロソフトといった企業への信頼は残る一方、
国家そのものへの信頼は目減りしているということです。

今年、金は51%上昇。1979年以来の上げ幅です。
その背景には4つの要因があります。

  1. 各国の中央銀行がドル離れを進めている。
     外貨準備の過剰なドル偏重を修正するため、金を大量に買い増し中。

  2. 投機筋がそれに便乗。
     中央銀行の買いで価格が上がると、短期筋がさらに買いを重ねる。

  3. 「逃げ場」がない。
     かつては米国債が安全資産の代名詞だったが、いまは金がその座に。

  4. 政策と政治の不透明感。
     政府閉鎖、インフレ、貿易戦争など──混乱の中で「金以外信じられない」。

一方で、J.P.モルガンのジェイ・バリーは「ドル離れというより、分散の動き」と冷静です。
確かに、海外の銀行は依然として米国債を買い続けています。
しかし市場心理の潮目は、確実に変わりつつあります。


■ まとめ

金が上がるとき、世界は不安定です。
株が上がるとき、世界は楽観的です。
その両方が同時に起きている──それがいまの異常なバランスです。

株価は史上最高を更新し、金も史上最高値を更新。
一見「強いアメリカ」に見えますが、その内側で起きているのは「信頼の分裂」です。

ドルが9%下落する一方で、投資家は米企業の株を買い続けている。
つまり「アメリカのシステムは信じないが、アメリカ人の創造力は信じる」という二重構造です。

そして、その“信頼の逃げ場”として金が選ばれています。
かつて「No Alternative(代替がない)」と呼ばれた米国債のポジションは、
いまや「No Alternative but Gold(金しかない)」に変わりつつあります。

問題は、この動きが一過性か、それとも始まりなのか。
モルガン・スタンレーのウィルソン氏は、ポートフォリオを「株60:債券20:金20」に変えるべきだと提案しました。
つまり、金がもはや“保険”ではなく“主要資産”に格上げされたということです。

ただし、歴史的に「みんなが金を買い始めたとき」が相場の天井でもあります。
「金は神」になった瞬間、信仰は崩れる。
バブルの終わりは、いつも“安心感”の中にやってきます。


■ 気になった記事

💰 富豪たちも金に集う

レイ・ダリオ、ポール・チューダー・ジョーンズ、ケン・グリフィン──
世界のトップ投資家たちが次々と金に資金を振り向けています。

ブリッジウォーター創業者のダリオ氏は「資産の15%は金にすべき」と発言。
モルガン・スタンレーはポートフォリオの2割を金に推奨し、
ゴールドマン・サックスは2026年の金価格予測を4,900ドルに上方修正しました。

ただし、楽観は危険信号でもあります。
RBCは「短期的には買われすぎ」と警告し、反落の可能性も指摘。
「みんなが同じ方向を向いたとき、相場は反対へ動く」──それが市場の掟です。


■ 小ネタ① 🎨 ボブ・ロスの絵、公共放送を救う

「ハッピーツリー」でおなじみの画家ボブ・ロス。
彼の遺した30点の作品が、公共放送局の資金難を救うためにオークション出品されることになりました。
推定落札総額は最大140万ドル。
「30分で描かれた癒しの風景画」が、今度はテレビ局の命をつなぎます。
人は亡くなっても、やさしい声と筆のタッチは、なお誰かを助け続けるんですね。


■ 小ネタ② 💸 「金か、信頼か」──投資家の本音

金が上がっても、実は誰も“うれしそう”ではありません。
それは、価格上昇が「不安の裏返し」だから。
あるトレーダーは言いました。

「みんなが金を買うときは、安心を買ってるんじゃない。絶望を売ってるんだ。」
的を射ています。


■ 編集後記

——金が上がるたび、世界は少し貧しくなる気がします。

皮肉な話ですが、金が高騰するときって、人間が“何かを信じられなくなったとき”なんですよね。
政府、通貨、中央銀行──いまや誰も完全に信じられない。
その結果、最後に頼るのが「光らないと信じられない金属」です。

でも考えてみれば、金そのものに価値があるわけじゃない。
価値があると思い込んでるのは、いつも人間の側です。
つまり、信頼を失った社会の鏡が金なんです。

人が作った紙幣を疑い、掘り出した金属を信じる──
この逆転こそ、いまの世界の歪みです。

ただ、そんな中でも救いはあります。
ボブ・ロスの絵がオークションにかけられ、人々が少し優しい気持ちになる。
AIや株や金が騒がしくても、たった一枚の風景画が人の心を落ち着かせる。
そういう瞬間がまだ残っている限り、世界は完全には終わっていません。

金はたしかに価値を保ちます。
でも、人の優しさは──もっと長持ちします。

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