SpaceX「史上最大IPO」か?──“未上場ユニコーン祭り”が2026の相場を揺らす

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🧠深掘り記事

🧾 まず事実(ここはファクト)

  • SpaceXが来年のIPO準備を進めている、という報道が複数出ています。

  • 資金調達規模は報道で幅があります。

    • Bloomberg:少なくとも300億ドル調達評価額1.5兆ドルを目指す

    • Reuters:より控えめに250億ドル調達評価額1兆ドルの線

  • もし300億ドルを達成すれば、2019年のサウジアラムコ(290億ドル)を上回る史上最大級のIPOになり得る、とされます。

  • さらに、OpenAIやAnthropicなど、評価額1000億ドル超の“セントコーン(centicorn)”級が来年の上場を意識している、という文脈も同時に語られています。

  • Bloomberg推計では、来年にかけて最大2.9兆ドル規模の未上場企業がIPOに向かう可能性がある、という見立ても出ています。


🧩 何が“本題”なのか(ここから読みやすく)

ここ、数字がデカすぎて麻痺しますよね。なので要点を一言で言います。

来年のマーケットは「AI相場」だけでなく「新規上場(IPO)相場」でもある
…かもしれない、という話です。

株式市場の盛り上がりって、ざっくりこういう順番で燃え上がります。

  1. 既存の勝ち組(今だとAI関連)が上がる

  2. その熱に引っ張られて、未上場の“夢”が上場してくる

  3. 投資家のお金と注意力が、既存株 ↔ 新規IPOで奪い合いになる

  4. どこかで「値段だけ先に走ったもの」がバレる(WeWork的瞬間)

今回の記事は、まさに②〜③の入口です。


🦆「アヒルが鳴いてるうちに餌をやれ」(市場心理の翻訳)

記事の引用で印象的だったのが、Interactive Brokersのストラテジストの言葉。

“Feed the ducks while they’re quacking.”
(アヒルがガーガー鳴いてるうちに餌をやれ)

これ、金融の世界では「市場が欲しがってる時に売れ(=上場しろ)」の婉曲表現です。
で、今のアヒルは何に反応してるかというと、AI・宇宙・暗号資産です。

だから、SpaceXがもし上場するなら「今しかない」と考えるのは自然です。
(上場する側も、買う側も、熱がある時は都合がいい)


⚠️ 泡(バブル)懸念が消えない理由(ここは“構造”)

今回の記事が面白いのは、期待と不安が同じページに同居しているところです。

  • S&P500は高値圏

  • AIへの熱狂は続く

  • でも投資家は「AIバブル」を気にしている

  • そこへ“さらに高値の新顔(IPO)が大量に来る”と、怖くなる

ここで出てくるのが、IPO研究の権威Jay Ritter氏のコメントです。
「バリュエーションが ridiculous(バカげた水準)になると、WeWorkのような瞬間が来る」
という警告。

WeWorkは2019年、ソフトバンクが評価額470億ドルを付け、上場直前で機関投資家に「その値段は無理」と突き返され、崩れました。
つまり市場は、夢は買うが、夢だけは買わない


📉 直近の“弱さの匂い”:Oracleショック(ファクト→意味づけ)

記事では「AI相場の匂いの変化」に触れています。例として出てきたのがOracle。
OracleはAIデータセンター投資を大きく進める一方、四半期売上が期待に届かず、支出増が嫌気され、時間外で株価が大きく下落した、という流れです(記事では11%下落と記述)。

ここから言えること(※意見)は単純です。
“AI”という看板だけでは許されないフェーズに入っている
投資家は「で、儲かるの?」に戻っています。


🌌 SpaceXが“上場の風向計”になる理由

SpaceXは、AI企業とは違う魅力があります。

  • ロケット&衛星という実物(ハード)

  • 国家・安全保障・通信インフラと接続しやすい

  • 一方で、バリュエーションは天文学的

つまり、SpaceXが上場して買われるなら、
「未上場の巨大企業でも、高値でいける」空気が強まります。

逆に、SpaceXが上場して渋い反応なら、
“セントコーン祭り”全体の温度が下がります。

要するに、SpaceXは来年、
IPO市場の温度計になり得るわけです。


🧭 2026の見取り図(ここから意見:投資の読み方)

ここからは意見です(ファクトではありません)。

  • 来年の相場は「AIが正しいか」だけでなく、
    “新規上場の供給”で需給が崩れないかが効いてきます。

  • IPOが大型化すると、資金が吸われます。
    既存の大型テックが上がり続けるには、買い余力が要る。

  • つまり投資家に必要なのは、
    テーマの正しさ値段(バリュエーション)需給の3点セット。
    どれか1つでも欠けると、WeWorkのような“空気の反転”が起きます。


🧾🧷まとめ

SpaceXのIPO報道は、「宇宙企業が上場する」という話に見えて、実は「2026年の相場の空気」を占うニュースです。報道では、SpaceXは来年上場を視野に入れ、Bloombergでは少なくとも300億ドル調達・評価額1.5兆ドル、Reutersでは250億ドル調達・評価額1兆ドルと、数字に幅があります。ただ、どちらにせよ規模が規模なので、市場の受け止め方次第でIPO市場の流れが変わります。記事はさらに、OpenAIやAnthropicなど評価額1000億ドル超の“セントコーン”級も上場を意識している文脈を重ね、Bloomberg推計として最大2.9兆ドル規模の未上場企業が上場に向かう可能性を示します。
重要なのは、株式市場が高値圏でAI熱が続く一方、投資家はバブルの匂いにも敏感になっている点です。実際、AI投資を拡大するOracleが売上の弱さと支出増を嫌気され大きく下げた例が挙げられ、「AIの看板だけでは許されない」空気がにじみます。IPO研究の権威Jay Ritter氏は、バリュエーションが過熱すれば“ WeWork moment ”が起き得ると警告します。市場は夢を買いますが、夢だけは買わない。
したがって2026年は、「AIが正しいか」だけでなく、「巨大IPOという供給が増える中で、投資家の資金と注意力が分散しないか」という需給面が効いてきます。SpaceXが買われれば未上場巨人の上場が加速し、渋ければ熱は冷める。SpaceXは来年、IPO市場の温度計になり得ます。


🔎🛠️気になった記事

🧑‍💻🛡️「デジタル技能不足=国家安全保障」──地味だけど一番怖いやつ

JPMorganChaseの新レポートが、米国の“人材不足”を経済課題ではなく国家安全保障の脅威として位置づけた、という話です。ポイントは刺さります。成人の40%が基本的なデジタル技能を欠くという指摘。AI、半導体、エネルギー、防衛など「金は出す」「設備も作る」方向に国家が進んでも、動かす人がいなければ実行が折れます。記事は、JPMorganの1.5兆ドル投資イニシアチブとも結びつけ、「資金を配るだけでは足りない。タレントパイプラインが必要だ」と主張します。
さらに“数字”がいやらしくリアルです。防衛産業基盤のリーダー調査では、46%が熟練製造人材の採用・定着に苦戦。半導体は巨大fabの立ち上げスピードに採用が追いつかない。電力網の近代化・電化では近い将来に約20万人規模の需要が見込まれる。AI領域は職務要件の伸びが全体の2倍ペースとされます。
ここで重要なのは、これが「景気」ではなく「運用能力」の話だという点です。補助金や政策があっても、最後に勝つのは、現場を回せる技能と教育です。AI相場で語られがちなGPUやモデルの話より、むしろ“人間側のボトルネック”が一番の制約になる。地味ですが、長期では一番効く論点です。


🧃🗞️小ネタ2本

🎲🏛️ 小ネタ①:予測市場が“ロビー団体”を作る時代

KalshiとCrypto.comが中心になって、**予測市場の連合(Coalition for Prediction Markets)**を作る、という話。メンバー候補にRobinhood、Coinbase、Underdogも名を連ねます。狙いは「州ごとに解釈が割れる」状況を嫌い、CFTC(連邦)規制で一本化を推したい、ということ。
面白いのは、同じ業界でも商売敵なのに、政治的利益が一致すると“同じ傘”に入る点です。スポーツ賭博側(AGA)が反発し、DraftKingsやFanDuelが距離を取ったという対立構図も出ていて、2026は「金融」より「規制」で揉めそうな匂いがします。

🧠💸 小ネタ②:「利益ないけど上場する」会社が増えたら何が起きる?

記事は、来年のIPO候補が「利益が薄い/ない会社も多い」と釘を刺します。ここ、投資家としては笑い事じゃない。
IPOが増えると、相場は“新しい物語”に飛びつきます。でも物語が増えすぎると、資金が薄まり、どこかで選別が始まる。結果、**当たり(次のNvidia)外れ(WeWork的失速)**の差が激しくなる。
つまり来年は、銘柄選びが「AIかどうか」ではなく、価格と中身が釣り合ってるかの勝負になりそうです。


✍️🧨編集後記

来年、もしSpaceXが上場するなら、世の中はまた一段うるさくなります。「宇宙」「AI」「1兆ドル」「史上最大IPO」…単語が強すぎて、脳が勝手に“勝ち確シナリオ”を再生し始める。人間って、巨大な数字を見ると、内容より先に気分が動くんですよね。
でも、この記事がちゃんと冷水を浴びせているのが良い。Oracleの例を挙げて「熱狂は一瞬でビビりに変わる」と示し、WeWorkの話で「機関投資家は夢だけは買わない」と思い出させる。これ、2026の投資家の教科書にしていいやつです。
さらに皮肉なのは、国家がAIや半導体にお金を入れても、最後に詰まるのが“人間の技能”だという点。ロケットもAIも、結局は人が作って回す。成人の40%が基本デジタル技能を欠く、という話は派手さゼロですが、長期では一番効いてくる制約です。株価の物語は派手、ボトルネックは地味。いつもそう。
来年の相場は、たぶん「強いテーマ」より「強い現実」の方が勝ちます。
夢が悪いんじゃない。値札が夢に追いついてない時が危ない。
…で、いま市場は夢の棚卸しを始めたところです。あなたのポートフォリオも、そろそろ棚卸しの季節かもしれません。

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